過去の人

真夜中ネットを巡回していて、何となく大学時代の友人の一人を思い出した。
それで、ネット上の検索に彼の名を何気なく入れてみた。
するとあっさり、本人の写真入りの紹介が出ているページがヒットした。

4年ほど前、思い出したくもない理由で、私から彼への連絡を一方的に断った。
その頃の私をとりまく一連の事件に彼は関与をしていたが、彼には非はない。
しかし、当事者と彼とが親密であるがゆえに私は連絡を断ってしまった。
私がそうしても、彼は怒らず理解をしてくれるだろうという甘えもある。
彼から一度、転職とそれに伴う引っ越しの連絡が来たが、それに返事をすることなく放置したまま、その葉書も紛失をしてしまった。

見つけたページは、彼が当時転職先と言っていた会社のサイトの中のスタッフ紹介ページ。
どうやら、まだその職場で頑張っているらしい。
あいかわらずの柔らかい笑み。
そして、やはりというか、社長以外のスタッフは全員女性。
根っからのスポーツ人間で決して女性らしい人ではないのだが、非常に繊細な面を持った人で、女性の中にあってもその場の雰囲気を壊さず、しかし自分らしさを失わずにいられる人だった。
そのまとった空気も相変わらずなのだろう。

なつかしい、けれど、きっと二度と会わない人。

会いたくないといったら嘘になる。
しかし、会いたくない。
私が失った場で、しっかりと生きている彼。
まだ、会いたくない。