「愛」

今年に入ってからずっと私は、「愛」とは何だろうかと考えている。
「愛」って何だろう。
人を、何かを「愛す」って何だろう。

「愛す」とは、対象があって初めて用いられる言葉だ。
誰かを「愛す」。恋人を、友人を、ペットを、私自身を、「愛す」。
何かを「愛す」。花を、街を、人と人との間に引き起こされる事象を、「愛す」。

「わたし」があって、愛する「対象」がいる。
その間に引き起こされる感情。「愛」
「わたし」自身を「愛す」場合でも、「わたし」という認識自体も「他者」があって初めてなりたつものだから、やはり「愛」とは「他者」の存在があるからこそ引き起こされる感情なのだろう。

ならば。
人は、何の為に「愛す」のだろうか。

私の知っている「愛」は。
私に向けられているように見えながら、でも私の存在に向けられているものではなかった。
その人が自分自身を愛撫する為に、その目的の為に私を支配しようとするものだった。

でも。
あれも一つの「愛」の形だったのだ。
私という存在を介した。

私は。
私は、ああいう「愛」はもういらない。
でも。
私の知っている「愛」は、あれだけだ。

私が人を、何かを「愛して」いると感じる時。
そんな時には、この「愛」は一体どういうものだろうかと。そんな風に、ふと考えてしまう。

「愛」って何だろう。
人を、何かを「愛す」って何だろう。