酒を呑む

相変わらず大量のアルコールを毎日消費している。

最近の楽しみは、仕事帰りの飲酒。
家へ帰る途中に酒場に寄る…のではなく家までの途中で歩きながら、あるいは公園で、コンビニで買ったカンチューハイやビールを呑むというやつ。
アル中一歩手前かもしれない。

昨日は公園で呑んだ。
そこは桜がきれいな事で地元では有名な公園で。
だから桜の時期には2、3の屋台がたつ。
今は桜も葉っぱだけになっているが、ゴールデンウィークのためかタコ焼きの屋台がたっていた。
それを見たら無性に呑みたくなった。

近くにあるコンビニでカンチューハイを買い。そして500円という非常に高いタコ焼きを買って、ベンチに座った。
缶を開け、2、3口、立て続けに呑む。
タコ焼きを頬張り、また呑む。
幸せ。
屋外で、まだ明るいうちに呑む酒は格別に旨い。

ふと、父親の事を思い出した。
家族で山などに行楽に行くと、父は缶ビールやワンカップを買いたがった。
その度に母はたしなめる。
子供たちも母の口調を真似て、父をたしなめる。

「お父さん、お酒の呑みすぎは身体に毒だからね」
「呑んじゃダメだよ」
「仕方がないなあ。これ一本だけだからね」
「もう呑んじゃダメだよ」

父親の身体の事を思いやって、あえて口にする苦言。
正しい事を言っているという正義感。
父親をたしなめる行為は、自分がまるで大人になったかのような、そんな気にもさせてくれた。

母は酒の呑めない体質で、その体質は母の家系のものだった。
加えてお嬢様育ちで世間知らず。
だから母は「普通の酒飲み」「普通の酒量」というものを知らない人だ。

父の酒量が多かったか、というと、そうではないと思う。
安いウィスキーや焼酎を水で1:2程度に割ったものを、一日に2、3杯。
週に一度は「妻や子供に強要されて」の休肝日。
これは、ごくごく普通の会社員のものではないだろうか。
しかし母も私たち子供も、「父の身体を思いやって」という御旗の元、飲酒については父を常に叱責し続けた。

日常とは異なる行楽地で。
少し解放的な気分の中。
家族から責められながら呑む酒は、一体どんな味だっただろうか。

初夏を感じさせる風の吹く夕暮れに。タコ焼きを肴にカンチューハイを呑みつつ。
そういえば酒を呑んでいる父に、「美味しい?」と尋ねた事は一度もなかったな、と思った。
父がそれを楽しんでいる事を喜んだ事は、一度もなかったと。