送る

バイト先Aでのクライアントの一人、Kさんが急に亡くなられた。
確かにご高齢な方だったが非常にお元気な方だったので、本当に急な話だった。

昨日お会いしたのが最後。
いつものようにお変わりなく、笑顔で迎えてくださった。
私はもちろん仕事で伺っているのだが、
「わざわざ来てくれて、悪かったですねえ」
「ご飯はもう食べましたか?何か食べていきなさいよ」
「気を付けてお帰りなさいね」
などなど。声を掛けて下さり。
隣の部屋から息子さんが、にこにこした顔で見ていらした。

Kさんは息子さんと2人暮らしだった。
Kさんが夜中に急に具合の悪くなったのを息子さんがみて、救急車を呼び病院に運んだらしい。
そして、Kさんはそのまま亡くなられた。

あの部屋で、一人ぼっちで、息子さんは今、何を考えているだろうか。

また一人、人を送って。
一体あと何人の人を送るのだろうか。
送らなくてはならないのだろうか。