疲労困ぱい

努力をすれば道は開けるのだと。
そう言われてきて、それを信じてずっと努力を続けてきた。
努力をすれば道が開ける、いつかはこの業界で食べていけるようになる。
アルバイトなんかじゃなくて正社員として、力をふるう事ができるようになると。

社員ならば容易に手に入る情報を得て勉強する事も、社員ならば会社持ちで行かせてもらえる研修に自費で参加する事も、どれもとても困難な事だったけれど、でもそうやって努力を続けていればいつかは認めてもらえる日がくると思い、仕事の上でも実績を上げながら頑張って努力をし、何年もの間走り続けてきた。
しかし努力をしても努力をしても現状は変わらず、見回せば知識も資格も経験もなく、業界に思い入れもない人々が社員として採用をされ、どんどん力をつけてきている。
私は何社からも断られ、いつまでもアルバイトのまま。

この業界に移る前は、卒業大学が畑違いである事と未経験である事を問題視された。
業界に入ってからは、所持資格が少ない事や経験年数が短い事を問題視された。
所持資格と経験年数が足りてくると、アルバイトの経験しかない事を問題視された。
これからは年令も問題視されるのだろう。

もう、頑張るのは疲れた。
努力をすれば道が開けるなんて、そんな事を信じ続ける事が出来ない程の時間が経ち、私が出来る事にしてもこれ以上はない。
資格にしても、民間公的共に取れるものはみな取ってしまった。
何をやっても無駄だったのだ。
努力をすれば道が開けるなんて、そんな事、信じてはいけなかったのだ。
「叶う夢もあれば叶わない夢もある」
それが真実だと知っていたはずなのに。