過去旅行記録‐1

GWの中休みの日の夜、友人と飲みながら話していて、ふと祖父母の住んでいた土地を見たくなった。
帰宅後、連休なので飛行機はないだろうと思いながらネットを覗くと、翌朝発の便と、休み最終日夕方戻る便があった。
どちらも残り一席。
運がいいというよりも、これは行けと後押しをされているようだと思い、すぐに便を押さえ、出発の準備をはじめた。
これが夜中の2時の事。
荷物といっても、簡単な着替えとノートパソコンだけなので、いつもその辺に行くのと変わりはなく、鞄もいつもと一緒なので、準備は10分で終了。
朝の6時には家を出て、10時過ぎには現地の空港に着いていた。

両親の育った土地だが、私は住んだ事が無い。
私が生まれた頃には既に父方の祖父母は亡く、父の実家へは何度か行ったが、その場所を私は知らない。
知っているのは母方の祖父母の家だ。
彼等は長く生き、彼等の介護の為に通った事もあるので、家の場所も近所のスーパーの場所も、彼等が入院していた病院の場所も知っている。

その祖父母が亡くなってから、大分経つ。
彼等が死んでからはもう、あの土地へ二度と行く事はないと思っていた。
それを、突然行く気になったのは、友人と話していて、祖父母が病に倒れてからの事どもを、私は心の中で整理できていないという事を、改めて自覚したからだった。

祖父母が死んでから、あの家に住む人は誰もいない。
きっと家も取り壊されているだろう。
それでもいいから、楽しい思い出よりも辛い思い出の方が今は多いあの土地へ、もう一度行こうと思った。

取れた時間は二泊三日。
この時間を使って、過去を辿る旅をしようと思った。