夢の中で、人生の終わり方を考えた

こんな夢をみた。

私は大学にまだ行っていて、一人暮らし中。
風邪と思い、病院に行った。
これ以上悪くならない為の対処方法を医師に聞くと、「そんな問題ではないです」。
話をそらされ、怒られた。

私は進行の早い癌を患い、既に末期。
できる治療は何もない。
脳転移も既にあった。
何故か父にだけ既に知らされており、他の家族や当人である私に知らされていなかった。
そんな事を、はじめて知らされた。

そうか。死ぬのか。
私は遠からず、死ぬのか。
大学の過程はまだまだ残っているのに。
私はそれを終える事はないのか。
スケジュール帳の予定は半年先まで埋まっているのに。
それを終える事はないのか。

淡々と私は考え、とりあえず、スケジュールに記入されていた二週間先の予定に二重線を引いて消し、次の病院の予約を入れた。

帰り道、これからの事を考えた。
私がいなくなった先の事。
服や本、CDなど細々とした物の処分について、いまから始めないと、みんな困るよな。とか。
家族に見られたくない漫画や小説は、早めに処分しないと。とか。
飼っている犬の行き先を考えないと。とか。
でも、ぎりぎり最後の瞬間まで、犬と一緒にいたい。可能なんだろうか。とか。
そうか。死ぬまでの事も、考えないといけないな。とか。

実家に行った。
父がいた。
父は私を黙って見て。
それから、不自然に軽い口調で、「これからどうするのか。自分の口で言えなくなった時の為に、いろいろ決めておこうか」と言った。
私は「そうだね」と返し、そんな私たちを、家族は不思議そうな顔をして見ていた。

私は父に一つ一つ、やって欲しい事、やって欲しくない事を伝えた。
もしも叶えられるのであれば、と。

癌の事や自分の死の事は、誰にも知られたくない。
煩わされたくないので、生前も死後も、誰にも知らせないで欲しい。
静かに家で死にたいので、救急車は呼ばないで欲しい。
犬とは最後まで一緒にいさせて欲しい。
たとえ意識を無くしても流していて欲しい曲について。モーツァルト、バッハ、ベートーベン…。

叶うならば。

それを叶える力は私には既にないので、もしも叶えてくれるのであれば。

こんな夢をみた。