行き先探し

Mさんのところでなければ、いったいどこに行くか。と考え。
私は本当に知人が少ないと思った。
会いたいと思える人が本当に少ない。
いやそれは、そう思える人がいたら切り捨ててきたから、というのもあるのだが。

そこでとつぜん、大学時代の友人、Oを思い出す。
彼も私が過去に「切り捨ててきた」人の一人で。
なのに、こんなときばかりに都合がいいと自分の事ながら呆れるが、しかし過去を清算するいい機会かもしれないとも思う。
彼に会い、これまで連絡をしなかった事を謝り。そしてこれからの付き合いを構築できたら、と。
そんな都合のいい事を夢見たりする。

彼の連絡先はもらっていたが、どこへやったものかわからない。
捨ててはいないが、連絡をする気はなかったのでどこぞへ片付けてしまった。
それで彼の職場の方へ連絡をしようと、職場のサイトにアクセスをした。
そこは職場の位置や連絡先を紹介するページだけでなく、スタッフ一同の紹介ページがあり、彼の姿を見ることもできる。

過去に一度だけ行ったことのあるサイトだが、久しぶりに行くとスタッフが変わっていた。
そんな中、変わらない彼の姿。
もう、中堅どころといったところか。
きっと仕事に打ち込み、やり甲斐を感じ。同じ道を志すスタッフに囲まれ…。

私もそこにいたはずだった。
同じ職場ではないにしても、同じ道を志す者として、同じ仕事をしているはずだった。
でも。今は違う道にいる。
あそこには私の姿はない。彼と私の世界は大きく変わってしまった。

久しぶりに会って。
そして何をいうつもりだった?
同じ話題はもうないのに。
ただの「かつての知り合い」でしかない。

彼に会いたい気持ちはある。
きっと、彼も喜んでくれるだろうとは思う。
でも、彼の同僚の姿をみて。気持ちが沈んだ。
「あの世界」から落ちたと。そう思い知らさる。

道を違えた事に後悔はない。
何度繰り返しても、同じ選択をしただろう。
彼らからみると、いや、世間一般からみても、「脱落者」にしか見えないという事はわかっているが、そんなことは関係ないと。
そう思う。
そう思うのに。
心がざわめくのはどうしてだろうか。