過去旅行記録‐3

古い田舎の城下町。
案内所の職員さんは「20年前とは変わっていないと思いますよ」と言っていたが、街のどこにも見覚えのある風景はなかった。
商店街は寂れ、どこもシャッターが下りている。(決してGWの所為ではなく)
逆に観光名所は整備が進み、以前はただの住宅地の間に崩れた土塀があるだけだったような場所が、保存地区として整備され、建物は修復あるいは再建されてこぎれいになって公開されており、観光客が群れていた。

せっかくなので、目に付いたところを何軒か見学。
ゆっくりと見させてもらう。
どこにいってもシルバーボランティアのガイドさんがおり、質問に丁寧に答えてくれる。
ある家では、非公開の場所へこっそりと登らせてくれた。
商家の使用人部屋として使われていた二階(?)の部屋で、棚の戸を開けると内側は土壁が丸見え。見えないところには手をかけない、といったところか。
興味深くみさせてもらう。

一日目はそんな風に城下町の武家屋敷のある一角でのんびり過ごし、二日目は出発まで以前行った事のない地区(やはり最近整備された地区)へ行き、水道とそれを取り入れた独特の作りの家を見学させてもらった。
(川を望む庭のある武家屋敷は、時間があったらいつまでもいたいような、本当に素晴らしい眺望だった)

お城へは登らなかった。
時間があまりなかったし、せわしなく歩き回りたくなかったのだ。
20年前もお城へは入らなかったので、まあ、私の旅行らしくていいかもしれない。
代わりに、お城のお堀の脇にある御茶屋で、城を見ながらお抹茶を戴いた。
御茶屋といっても、シルバーサービスの人が半分趣味でやっているようなところで、屋根だけある屋外のベンチで、手作りのお菓子と一緒に戴く。

お茶を飲みながら、職員の方に少女時代の話や、お城や土地への思いを聞かせていただいた。
柔らかな語り口は、何よりも旅の思い出となった。