独り暮らし

独り暮らしをしていると私が言ったら、彼女は「凄いですね」と言葉を返した。
これまで独り暮らしをしたいと思いませんでしたか?と聞いた私に、「若い頃はそんな事も考えたけれど、今はもう落ち着いてしまったから…」と私よりも5歳ほど若い彼女は言う。
「若い」頃に家に居たら、私も「落ち着いて」家に居られたのだろうか。

「私が独り暮らしをしているのは『凄い』とか何とかではなくて、ただ単に協調性がないだけですよ」と言った私の事を、「家族との事なんて、協調性とか何とかいう問題じゃないでしょう」と彼女は笑ったけれど、それが本当とは思わない彼女はとても幸せな人なのかもしれない。

妬むとか羨ましいとか。そんな風には考えない。
けれど。
彼女と私との決定的な差を見たような、そんな感じ。

他業種からの転職、という点では同じ、私と彼女。
転職当時から正職員として雇用された彼女と、転職組という事で本気と取ってもらえなかった私。
家族に受け入れられなくなった私。
こんな私のような生き方があるなんて、こんな生き方しか出来ない人間がいるなんて、そんな事は思いもよらないのだろうと。
そう思い。

何だか苛立たしい。

どうして苛立たしいのか。
それは、