残したかった手紙〜1

早いもので、貴女が逝ってからもう3週間がたちました。
貴女を殺したものが何なのか。私にはまだはっきりとは見えません。
けれども、何となく見えてきた気がします。

貴女の命を直接奪った者、すなわち実行犯の名を、私は知っています。
もしも報道が正しければ、ですが。
けれども、貴女の命を奪ったのは本当は彼等ではないのではないかと、そう思えてなりません。
貴女達を死に追いやったのは、彼等でも彼等に命令をした者(もしもそういう者がいれば、という仮定ですが)でもなく、私達を取り巻く社会そのものではないかと。
もしも、もしも報道で言うようにこの事件の裏にイスラム原理主義者(の一派)がいるとしても、彼等が、ではなく、彼等との争いが、私達の社会にある争いの構図が、貴女達を死に追いやったのではないかと。そう思えてならないのです。

私はテロリズムという思想(あるいは行動理念)を認めることができません。
己の主義主張以外の何者にも価値を認めない。他者の人生、人格さえも。そのような偏狭、狭量、暴力賛美主義の思想を私は認めません。                                                                                                                                                                                                                          
色々な宗教、思想、習慣をもつ人間が集まれば、諍いが起こってあたりまえでしょう。
けれども、少しずつ互いに譲り合って共存していく事はできないのでしょうか。
自ら以外を排除するのではなく。

それが出来ないのが、思想・宗教というものなのかもしれないけれど。
「絶対に譲れないもの」
それを賭けているのだから。
それでも、思わずにはいられないのです。
世界中の人たちが、共に生きていくために。