夢‐2

奇妙な2つのパラレルな夢の後、本格的に起きる前にみた最後の夢は、去年の初夏に亡くなったKさんに関する夢だった。
どういう訳か、Kさんの墓の件で近所の方に確認をしてもらわなければならない用件ができて、しかもどういう事態か私にそれをして欲しいと役所の人から依頼をされ、私はKさんの住んでいた地域の世話人のお宅に伺うのだ。
ちなみに、夢でも現実と同じくKさんは無縁仏として葬られていたが、現実には役所が私にそのような依頼をする事はありえない。

夢の中の時間軸は現実と同じで、Kさんが亡くなってからもう何ヶ月も経っている。
もうずいぶん日が経っているし、近所の人も驚くだろうなあ、と思いつつ、件のお宅に伺い、
「覚えていらっしゃいますでしょうか?
わたくし、Kさんのサポートをしていた者ですが…」
と名乗り、用件を告げると、案の定びっくりされ。そこで目が覚めた。

昨晩みた夢は、覚えている夢も覚えていない夢もみな、血まみれで死に関するものばかりだった。
そんな中、最後にみたKさんの夢は今思い出してもどこか温かく、心に残る。
朝、出勤途中に夢を反芻しながら、
「そういえば、今日は寒いからなあ。
Kさん、大好きな牛鍋、食べたいのかなあ。
それとも、いつもご飯をあげていたネコが寒がっていないか、気になっているのかなあ…」
と、陰惨な他の夢を心の端に追いやりながら思ったが。
最後の夢に関しては、意外とそれが正解なのかもしれない。

こんな日にKさんの家に行ったら、ストーブを付けっ放しで窓も開けっ放しにした部屋の中で、上がりこんだノラネコがKさんからもらったご飯を食べていて、Kさんはそれをニコニコと眺めていて、私は「大家さんに怒られますよお〜」とため息をつき。でもKさんがあまりにも嬉しそうなので、やっぱり私もニコニコしてしまい。
そしてKさんに「何か食べたいものはありますか?」などと聞いたなら、いつもの上機嫌なニコニコ顔で「牛鍋、食べたいなあ…」と言われるに決っているのだ。